スポーツ選手のための栄養プログラム(2) スポーツ選手の食事の傾向

連載:ビタミンつれづれ

薬剤師 古田裕子
2002/11/01

先にも述べたように今回のプログラムを実施した4人の選手の食事内容、食習慣の調査と、過去に私が栄養指導、トレーニング指導を行った選手たちの例からも、スポーツ選手の食事には共通して次のような傾向が見られます。
  1. 高たんぱく、高脂肪、低炭水化物食
  2. 総摂取カロリー不足
  3. 食品群と食品のかたより
  4. ビタミン、ミネラル不足
  5. 短い食事時間
  6. 食事抜き
最近の手軽な食品には明らかに脂肪が多く含まれており、コンビニエンス・ストア、スーパーなどで売っている惣菜は揚げ物の類が非常に多く、カップ麺、菓子パン、調理パンにも脂肪が多く、保存料や防腐剤なども含まれています。

さらに、食べられる時にとにかく空腹を満たすというような食生活では、栄養のバランスは崩れ、体の機能を正常に保つビタミン、ミネラルも明らかに不足します。
また、練習に集中するだけでなく、仕事や勉強にも時間を割かなければならない選手にとって、食事時間をゆっくりと確保する余裕はなく、疲れた体を休めたいため、朝食をとるよりは寝ていることを選ぶ場合も多いのです。そして、こうしたことから食欲不振に陥り、疲労感、倦怠感がつのるという悪循環を繰り返すことになってしまうのです。


したがって、スポーツ選手の食事を考える時、何をどれだけ食べてトータル何カロリーかという論議に終始しているだけでは何の解決にもなりません。指導者はもちろん、選手自身が食事の持つ意義を十分に理解し、単に理想だけを追い求めるのではなく、自分の現実に即した方法をとる知恵を身につけ、毎日の生活全般、トレーニング内容も含めて改善しなければならないのです。
手軽な食品をとり続ける結果、高脂肪、高たんぱく食になることは明らかです。
高脂肪食は体に余分な脂肪を増やすことになるため良くないと思っているスポーツ選手は多いのですが、実際の食事となるとそのことが無視されてしまっています。


高たんぱく食に関しては体づくり、筋力アップのために良いからとまったく意に介さない場合がほとんどのようです。スポーツ選手にとって必要とされているたんぱく質の所要量は1日に体重1kgあたり約2gで、その量は通常の食事で十分にまかなわれています。逆に動物性たんぱく質にかたよったり、とりすぎたりすることで内臓への負担を大きくし、それが疲労感、倦怠感をもたらしているケースも少なくありません。

たんぱく質を構成しているアミノ酸は分解されると血液を酸性にします。その結果、それを元の状態に戻すため骨からミネラル、特にカルシウムが溶けだして調節します。
また、たんぱく質の分解は水分の排出を促すため、溶けだしたミネラルも一緒に排出してしまうため、たんぱく質のとりすぎはカルシウムの不足をもたらします。
また、アミノ酸に含まれる窒素からアンモニアが生成され、尿素になります。
尿素の排出がうまくいかないとそれが尿酸になるため、動物性たんぱく質をとりすぎると、高尿酸血症(通風)を引き起こしやすくなります。何気ない日常の食事も、食べる量が多いスポーツ選手にとっては不都合な状況を招きやすいのです。 

   
一方、筋肉と肝臓にどれだけ効率よくグリコーゲンを貯えられるかということがスタミナに直結しているため、グリコーゲンのもととなる炭水化物が不足すると明らかにスタミナ不足になります。1日2時間の激しいトレーニングをする場合、消費された筋肉中のグリコーゲンの回復には糖質のカロリー比が70%になるような食事が有効であると認められています。
したがって、スポーツ選手はかなり意識的にご飯、野菜、イモ類、豆類を食事に取りいれていかなければなりません。
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