こんな健康対策が間違っている(2) やせる健康食品はない

連載:こんな健康対策が間違っている

医事評論家 菊地一久
2002/10/17

■やせる健康食品はない

「飲めば直ぐやせる」「1日5㎏」とPRがあるが、ダイエットに王道はない。――中国製のやせる機能食品?で死亡事故も起こっている。

前に述べた血圧同様、肥満も単純なものではない。
人の発育はほぼ25歳で完成し、その後の体重増加はボデービルでもしない限り、脂肪組織の増加なのだ。食べ方だが、間食、夜型生活での食事、不規則な食生活、アルコール、甘いもの、外食が多い、運動不足、ふとりやすい遺伝素因、精神的因子でたべ過ぎる(女性に多い)がある。


また、肥満は、生まれる前の親の栄養状態が関係している。
一般に肥満の要素は、乳幼児期につくりあげられる。つまり、乳幼児の過食は脂肪蓄積をきたし、ひきつづき肥満児となり、ついで肥満成人に発展する。

小学生だった人を20年後(平均31歳)の体格とくらべた成績によると、肥満男児の86%は肥満成人となり、標準体重の男児は42%、つまり半数しか肥満になっていない。女児については、小学生の時に肥満した人のうち80%が、肥満成人になり、標準体重であった人は18%しか肥満成人にならないという調査がある。

また肥満児は人工栄養に多いという。

■肥満者は脂肪細胞が大きい

肥満者は肥満細胞が大きくなるばかりでなく、脂肪細胞の数もふえる。
しかも、脂肪細胞の数が、いったんふえると、たとえその後やせてもふえたその数は減らない。
そのために、たとえやせても、からだつきは異常のままである。


この脂肪細胞の数は、思春期や成人初期までは限りなく増加するので、肥満は若年期のうちに治療しておくことが必要であると専門家はのべている。

このように肥満そのものも単純ではない。この薬でやせるというのはおかしい。病的障害を起こしてやせるということになる。(ホルモン異常とか、肝や腸に障害で下痢をしてとか…)

■運動だけで体重減量は不可能

運動によって脂肪細胞を燃やすことは大変な労力が必要である。
脂肪組織は、脂肪が90%、水10%の構成で、タンパク質組織は20%がタンパクで、水が80%の構成である。

ところで、タンパク質一グラムの体内利用熱量は4カロリーで、これに比べて脂肪は一グラムの体内利用量は9カロリーである。
そこで脂肪組織を一キログラム減らそうとすると、脂肪組織は、脂肪九〇〇グラムを減らそうという計算になる。脂肪一グラムが9カロリーの熱量に相当するので、これは、9カロリー×900=8100カロリーになる。
この8100カロリーを散歩で消費しようとすると、1.5キロ歩いて、100カロリーなので、(1.5㎞×8100/100=121.5㎞)という計算になる。

この151.5キロメートルだが、この距離は、東京から歩くと、北は渋川あるいは水戸まで、西は沼津、山梨まで歩き続けなくてはならない計算になる。しかも、水分補給だけしか許されない。いかに運動のみで脂肪を燃やすことが大変かがわかる。
体重減量は食生活で、脂肪分を少なくし、栄養のバランス、そして夜食はやめる。肥満は夜つくられるからだ。体をうごかすことだ。
安易に血圧を下げたり、減量をすることができないのが、自然なのだ。
それが安易だとすれば、それは不自然なことで、病を招くことにつながる。
今は、不自然が当たり前、そんな時にみえる。


そんな中で、総合ビタミン剤は歴史ある唯一の健康機能性食品であると言える。

(おわり)
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