より効果的なサプリメント利用法(5) 運動とマルチビタミン

連載:ビタミンつれづれ(2)

薬剤師 古田裕子
2003/08/26

飽食の時代の脚気

ある高校の野球部で部員の多くが脚気と診断され、飽食の時代といわれる現代にも脚気が存在するということでかなりセンセーショナルに報道されたことがあります。彼らは練習と昼の弁当の時間以外はほとんど睡魔におそわれ、授業にならないような状態でした。始めのうちは激しい練習のために疲労がたまっているものと思われていましたが、手足のしびれやむくみ、ひどい倦怠感があることから調査を行い、脚気であることが判明したものです。

カロリー足りて栄養足りず、の構図

脚気の治療にはB1 製剤が有効ですが長期間、たとえば20週間にわたってビタミンB1 が欠乏していた場合は、心電図の乱れや胃酸の分泌がなくなるといった症状が現われ、ビタミンB1 を服用してもその症状の改善には1カ月もかかったという報告もあります。
一方、このようにビタミンB1 の欠乏に対してB1 製剤を投与することで、ビタミンがいかにも薬であるかのように誤解されてしまいますが、ビタミンはそもそも食品に含まれ、その食品が消化、吸収され、効率よくエネルギーを生み出すための手助けとなる栄養素なのです。現代のように精製度の高い食品やインスタント食品が増えると、カロリー源は十分ですが、それをエネルギーに転化するのに必要なビタミンやミネラルは絶対的に不足してしまいます。
激しい運動をする人は当然大きなエネルギーを必要とするため、それに見合った量のビタミン、ミネラルが必要になります。しかし、とにかく食欲を満たすことが先決と、どんぶり飯、インスタントラーメン、ハンバーガーとポテトなどをかき込むような食事を続けるとカロリーだけが増加し、食べれば食べるほどそれをエネルギーにかえるためのビタミン、ミネラルが不足していくという皮肉な結果をもたらします。

B1だけの問題ではない

ビタミンB1 の欠乏症である脚気の症状は、同時にその他のビタミン、ミネラルの不足を意味しています。そのため脚気の治療のために単にB1 製剤を投与するだけにとどまらず、他のビタミン、ミネラルも同時に投与しないと全身状態を改善するという根本的な解決にはなりません。
つまり、天然の食品から得られるビタミン、ミネラル全般をとることこそが体調の改善につながるのです。いつも疲労感や倦怠感を感じていながら、それを激しい運動のせいとあきらめてしまうことほどナンセンスなことはありません。食生活の総合的な改善を試みれば、もっと積極的な、活力にあふれた生活が約束されるのです。

(おわり)
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