健康先進国アメリカ

連載:米国発、新・食のピラミッド

編集部
2003/04/01

健康先進国アメリカの挑戦-ヘルシーピープル計画-

今、アメリカでは寝たきりの老人の数は減りつつあります。

人口は日本の2倍であるにも関わらず、寝たきりの老人の数は日本の約1/5です。日本もアメリカも高齢化社会を確実に迎える現実がありました。同じ高齢化社会の到来を目前にした両国は、その対処の仕方で全く違ったのです。

アメリカでは、2010年に高齢化社会に突入すると言う現実をポジティブに捉え、高齢化する国民の尊厳を守りながら、健康にそして自立した楽しい人生を送れるように、1980年からヘルシーピープルプロジェクトを打ち立てました。これは、国家を先頭に官庁、国民、民間企業や大学の研究室、市民団体が協力して一丸となって、寝たきり老人を減らして、健康に生きる年数(健康寿命)を伸ばそうという、アメリカの挑戦です。このプロジェクトが始まったのは、①老人医療費の増大と、②確実な社会高齢化予想が直接のきっかけでした。

予防医学への取り組み

このヘルシーピープルプロジェクトの大きな特徴は、予防医学への取り組みです。

寝たきりの原因である、心臓病・脳卒中・骨粗しょう症を予防する。それには、若い頃から、健康について考え学ぶ場を増やすことで、自然と健康に対する意識が生まれ、高齢者になったときの寝たきりの数を減らすことができる、という点に着眼しました。

このプロジェクトの目標は、国民が健康に長生きできること=「健康寿命」の延長と、要介護高齢者の減少が目標です。将来起こりうるであろう病気を若い世代から予防するために、運動や食生活での具体的な目標と対策を300項目以上のリストを作って掲げ、国家、国民がまさに一丸となって挑戦しました。

今、アメリカではその成果が着々と表れ、項目として掲げたうちの60%が達成され、2000年1月に新たな10ヵ年計画が開始されています。

経済の活性化

このプロジェクトが生まれた背景には、アメリカが確実に高齢化社会に突入するという現実に対応をせまられたということと、それに伴って生まれる寝たきり老人を減らすころにありました。これらは、高齢化社会が抱える大問題である、医療費を抑制するという大きな課題があったのです。

そこでアメリカが取り組んだ、予防医学への取り組みですが、これは若い世代に健康への意識を高めるだけではなく、医療費が圧迫されることがなくなったので、お年寄りひとり一人への十分なケアが可能となりました。

アメリカにおいて、ヘルシーピープル・プロジェクトは、国民一人一人の老後をよくするだけでなく、国全体の将来を明るくする有効な投資と捉えられています。寝たきり老人が減って、健康で自立した高齢者は、スポーツやレジャーを楽しんだり、住まいを買い換えたりと活動的であり、彼らのそういった行動は国の景気を刺激し、社会を活性化される根本であると考えられています。社会の多数になる高齢者に健康で居てもらうことで、消費活動が活発になり、経済社会そのものが活性化されるという意図があるのです。

(つづく)
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