アメリカ農務省(USDA)の試み

連載:米国発、新・食のピラミッド

編集部
2003/04/01

旧・食品指導ピラミッドとは

発表 1992年
作成 アメリカ農務省が作成
背景 1980年代のアメリカ国内の糖尿患者の急増を受けて、対策を迫られていた。
結果 USDAが食品指導ピラミッドを発表してから、肥満及び糖尿病患者は減るどころか増えた。
評価 現在では欠点だらけのガイドとして一般的に受け入れられている
特徴 全ての脂肪はダメで、すべての炭水化物は安全であるとした。

食品指導ピラミッド -The Food Guide Pyramid-

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旧ピラミッドは失敗

失敗の理由その
アメリカ人の食生活に無理やり合わせようとした


試作初期のピラミッドには肉類、酪農製品、農産物、穀物の4つの基本分類を作り、人々にはこの4つを適度に食べるように奨励する内容だっだ。このピラミッドでは、脂肪などを含む食品は炭水化物よりも控えめに摂取するように、と勧めていた。科学者たちは、摂り方によっては、脂肪は良く、炭水化物は健康に害を及ぼす、危険性を十分に承知していた。研究結果からは、バターやラードとは異なり、魚に含まれる油やナッツ類、そして野菜は心臓病を予防し、穀物は製粉されて小麦粉になった時点で一日に必要な量に匹敵する糖分を含むことも分かっていた。しかし、この結果よりも、USDAはアメリカ人の食生活の現状に則した方法を選んだ。アメリカ人は必要な脂肪のほとんどを赤身の肉や、酪農製品から摂取していたからだ。USDAの顧問達は、魚の油を積極的に摂取することを勧める代わりに、牛肉などの赤身の肉から摂る脂肪を減らすことを勧めた。そうすれば、飽和脂肪酸を減らすことになり、減らした分の肉をデンプンの摂取に置き換えれば、少なくとも全体の摂取カロリーは減らせる、と論じた。


失敗の理由その2
ローファットフード・ブーム


食品製造業者はまもなくして、低脂肪加工食品の潜在的な将来性に目をつけた。Produce for Better Health Foundationの社長であるエリザベス・ピヴォンカは、“穀物はそのままの形では利益はもたらさないが、ひとたび、膨らませて、甘くして、写真が描かれた箱に入れて、おまけのおもちゃも一緒に入れれば、莫大な利益を生む商品になるのです。”と言う。USDAのピラミッドでは、甘味を分類の中でも小さな場所に入れ、“控えめに摂取”と箇条書きを加えたが、1990年代初めに、ローファットの(低脂肪)ケーキや、クッキー、そしてスナック菓子が市場にあふれ出した時に、人々は、単純に今までの食生活にこれらのジャンクフードを加えた。この時、ローファットと表示されている全てのものは身体に有害に違いないという考えが人々には抜けていた。1980年代後半のスローガンを提唱する際に、軍医の顧問とし従事していたニューヨーク大学の栄養学研究者のマリオン・ネッスルは、“私たちは、赤身の肉や低脂肪の酪農製品を推奨していたのですが、そのときに菓子類のことは全く考慮に入れてなかったのです。”と言っている。


失敗の理由その3
炭水化物を土台としたピラミッド構成

製粉した炭水化物(小麦粉)がここまで問題になっているのは、カロリーではなく、その消化のされ方である。消化の過程でゆっくりと分解される全粒粉とは違って、製粉した小麦粉はグルコースとして血中に流れ出す。もし、その糖分が活動のエネルギーとしてすぐに使われなかったら、体は大量のインシュリンを作り出して血液内の循環から脂肪や筋肉での貯蔵へと送り出す。周知の通り、精製された炭水化物や糖分に富んだ食事方法はこの体内のシステムを徐々に侵食していく。細胞は、だんだんとインシュリンに対して抵抗力を持つようになり、体にもっと多くのインシュリンを製造するように指令を出す。やがて、このシステムは崩壊し、糖尿病を誘発したり心臓疾患を助長する。痩せて、運動をしている健康な人にとって、たまにとるブドウ糖は大した害はない。

出典:ニューズウィーク2003年1月号(英語版)
(つづく)
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